‘グトルフォス大陸’の中央に広がる’テロメアの森’。その片隅でエノールは一人、気楽に暮らしていた。平穏であると同時に退屈な日々。だが、それは唐突に崩れ去ることになる。きっかけとなったのは、川縁に倒れていた一人の女性。エノールの介抱により目覚めたその女性は、自らを’七姫専従騎士’カタリナと名乗った。旅の途中で賊に襲われ、’七姫’エーデルワイスと離ればなれになってしまったと語るカタリナ。七姫の行方は杳として知れず、カタリナはエノールにある提案を持ちかける。エーデルワイスと瓜二つであったエノールに、’七姫の代役’を頼み込んできたのだ。そして、エノールはカタリナと共に七姫が治める’ファムスール’へと旅立つ。七姫の代役をやり通すことができるのかという不安を胸の内に秘めて。旅の途中に出会う義賊の姉弟、ファムスールに広がる不穏な噂。七姫の代役を務めるエノールの元へ、次から次へと舞い込んでくる事件。やがて、それはグトルフォス大陸全土を巻き込んで、ついには’ノルドーレンの姫’が集う’姫会議’が開催されることになり――・・・多くの困難をも力を合わせて乗り越えていく、エノールとカタリナ。それを嘲笑うように、見え隠れする’魔女’の存在。一千年の時を経て、世界は一つの結末を迎えようとしていた。
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無事に大学を卒業し学生時代の忙しさから解放された主人公が、社会人としての新たな出発の日を迎えるまでの2週間、ゆったりとした時間の中で何を思うのか、という点から広がっていきます。4年間過ごしてきた街のことを、何も知らなかった事に気付いた主人公は見るもの全てが新鮮に映り、新たな発見の喜びに満ちています。子供時代に味わったような探究心、新たな出逢い、純粋な感動を全面に押し出した世界観を味わって下さい。
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いつの世も人形は人間達の側にそっと寄り添い、人々の心を和ませて来た。その種類は黒髪を持つリアルな物、憂いを湛えた物、可愛らしい笑みを浮かべた物など多種多様で、その目的は一つ。「主の心を癒す事」多くのテクノロジーがそうであるように、時と共に人形も進化する。物言わぬ存在から言葉を話す人形へと…ついには、自ら物事を考えて行動する存在にまで成長し、彼らは「亜人形」と呼ばれる様になった。一部の人々の間では、亜人形を我が子の如く愛する人達も現れ、もはや単なる玩具とは言い難い物となっていた。それどころか、その手の人たちの中では亜人形は別の意味で良い玩具になっていた。抑圧された欲望の開放。素の為だけの亜人形が造られるのにそれほど時間はかからなかった。非常に高価で希少価値のある「人型の玩具」として…。亜人形の本来の目的が「人の心を癒す事」であるならば、その癒し方は無限に広がるだろう…人の心が無限の可能性を秘めている限り。その亜人形を創り出し、育てる職人の事を「人形師」と呼び、そして人形師が丹精こめて作り上げた亜人形の事を、人々はこう呼んだ。WoRKs DoLL「ワークスドール」と…
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世界背景──5 years later…世紀の亜人形師である卓飛氏が亜人形制作の集大成とも言える完全体を作り上げてから5年が過ぎていた。卓飛氏は亜人形の制作に関するノウハウを世間一般に公表した。それは、より質の高い亜人形が簡単かつ安全に作れるように、そしてより多くの人が亜人形の恩恵を得られるようにと願っての事だった。こうして亜人形そのものが次の世代へと進化する事となったのだが、結果は皮肉にも卓飛氏の期待を裏切る事になっていた。亜人形は確かに進化した。まるで人工の愛娘のようにその表情は豊かで、義妹のように愛らしく、女中の様に忠実な存在でありながら、恋人のように主を気遣う彼女達に、世間の富豪達は以前にも増して高価な値段を付けた──理想的な僕として。より気高く賢い亜人形を持つ事こそが富豪達のステータスとなった。その為に亜人形本来の持つ資質は無視され、結果のみを人々は求めた。作製よりも、その亜人形をどう教育するかに重点が置かれ、教育しても育たない亜人形はすぐに慰み者として売り払われる。その教育の結果、亜人形一体の値段は城が買えるほどにまでつり上がっていた。特選民達は本来の自分達の役割を忘れて金と亜人形を集める事に没頭し、その結果政治と経済は混乱し、貧富の差が著しくひらいた為に人々は生活レベルによって住む所まで区別されるようになってしまった。…そしてここに一体の亜人形の物語が始まろうとしていた。黒い髪と黒い瞳、飾り気のない風貌に静かな空気を纏う彼女。暴動の起こりつつある街角で誰を待つのか、彼女はじっとうずくまっていた。
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先日の夜から続いている小雨も、空の様子からすると、もうすぐ止むだろう。校門前で、俺は校舎を見据えるように立っていた。この街についたのは、今日から一週間ほど前。鳥取で一騒動起こし、夜逃げ同然でこの街に来た。別に特別な当てがあった訳でもない。羽を休める為に寄ったこの街は、一見して穏やかな中規模の街だった。それが、この学校だけは少し違う。この学校は、妖魔の巣窟と呼んでいい程の魔気を含んでいる。よほどの事が内部で起こっているのではないかと、この一週間観察していたのだが、別段普通の学校と変わる所も無い。それもまた不自然過ぎる。「まぁ、いずれ解るか。」今日から俺はここの生徒になる。内部に入れば、また様々な事も見えてくるだろう……。
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ここは魔法の国トライフル。この地に伝わる魔法の一つに「タロット魔法」という魔法が存在します。魔法のタロットを自在に操り、怪物を召還したり、炎の雨を降らせたり…。ネージュとマフィンは、共に大タロットマスターのシフォン先生の元で修行している見習いタロット使いです。ある日、ネージュが家に戻ってみると、シフォン先生の姿が見あたりません…何者かに誘拐?さぁ、マフィンと共に、先生を救出する為の旅を始めましょう!
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始まりは安曇学園の閉鎖だった。いつか……。ふと思ったことがある。俺の胸の中で永遠に繰り返されるだろうこの物語は実は俺たちだけが見た幻ではないだろうか…。安曇学園が閉鎖となったこの年、俺たちはうつりゆく季節の中でお互いの大切さを確認し合った。現実とも言えないあの時間の中では、それだけが自分を確認できる唯一の手段だった。だが、他人は言う。「そんなことは何もなかった。お前は幻を見たのだ」と。それでいいのかもしれない。夢であれ幻であれ、俺はこの事を忘れはしない。彼女が俺を優しい笑顔で見つめてくれるのなら、俺は何よりもそれが一番大切だから。
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私は生まれた時から死んでいた――。掟に縛られた山奥の村で過ごす、切なく優しいミステリー!6年ぶりに戻ってきた芦日村で、主人公と少女達との一年間が始まろうとしていた。切なく優しいヒロイン達との想い出を作る主人公だったが、その村は遥か昔から棲み着く、異形の神々を信仰していた。時が経つにつれて明らかになる、太古の慣習と大人達が隠し通そうとする、血塗られた村の歴史。主人公とヒロイン達は出会い、そして数奇な運命に導かれていく…。
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特集: 『あじ秋刀魚』さん出演作品・大特集!